私のピアノミュージシャンのAricoさんとの出会いは、百花堂ブティック内で、ごく自然な日常の流れの中だった。
時々ふらりと立ち寄って、紬(つむぎ)の素材感や洋服の仕立て、デザインに真剣に見入ってくださっていた。紡ぎ出す絹糸の1本1本まで何かを感じ取っているような、真摯なまなざしで心に刻みつけているようだった。
今年の夏、ずっと気になっていた彼女からライブ(オーガニック・イタリアンとの素敵なコラボレーション)のご案内をいただいた。彼女がAricoというクリエイティブなピアノミュージシャンだとうかがい、うなずけた。
私はAricoさんの感受性の鋭さを感じ取っていたので、どんな音を聴かせてくれるのだろうと興味津々で妹と一緒にライブに出かけた。
Aricoさんの小さな指先を鍵盤に置いた瞬間から、心の奥深くに潜む情念を正直に呼び覚ます不思議な感覚に導かれた。ひとつひとつの音が繊細に複雑に絡み合う。Aricoさんの紬だ。グランドピアノが機織りのように見える。絹糸の1本1本が紡ぎ出されていく。ときにはAricoさんしか出せない不協和音が紬の糸味となって印象を際だたせている。
正直に言うと、私は既製品のような癒し調の音楽(音楽と限らずモノ全般)は苦手だ。心からノレない。
しかしAricoさんの手紡ぎの音楽は私の心をつかんではほどき、魅了させてくれる。
彼女はすごい感受性とうらやましいほど大人の色気を隠し持ち、それを湧き上がる創造力に変えている。
私はそんなAricoさんが大好きだ。
今ではAricoさんと親しくさせていただき、お洋服の話も盛り上がる。
素材や仕立ての良さと私たちのデザインをAricoさんの鋭い感性で感じ取ってくれ、お互いの創造性を刺激し合っている。

11月16日の町家でのライブにて。
紅葉柄(丹後のシルクに手捺染)のドレスがこの時の雰囲気にはまっていた

右:私、母、Aricoさん、妹
大人の花集結☆5周年記念パーティーでのライブや私が聴きに行ったライブの話題も後日アップします







