前回のショップオープン編で触れましたが、2年間はきもの(大正〜昭和初期のアンティーク)生地を使った洋服「クラッシック・コレクション」とバッグやアンティーク(帯留・かんざし)で商品を展開していました。今回は「クラッシック・コレクション」が生まれた動機と、その頃の商品や現在も人気の定番をご紹介します。
私達がきものの生地とファッションを結び付けた契機は、15年くらい前でしょうか。
私は美大、妹はモードの学校の学生だった頃、当時進行形の既製服に興味がなく、60年代を中心とした音楽やファッションに触発されてレコードやヴィンテージの洋服をコレクションしながら、興味の対象の”ルーツ”として求めていました。ダイレクトにかっこいい、”モダーン”な感覚を自己流にサンプリングしてコーディネートすることを遊びの中で目指していました。
アール・ヌーボー、アール・デコの時代にも憧れを持っていました。60年代のヴィンテージとは違い、芸術性の高さや本物志向の素材感が際立つアンティークに触れるようになると、ヒップなノリの良さとは違った、時空を超える魅力を感じます。京都という土地柄、古くて良い物に出会うチャンスが多く、大正時代を中心としたかんざしや帯留、美しい彩りの縮緬や大胆で斬新な柄の銘仙のきものに驚かさせられました。日本の古いものがこんなに素敵だったなんて!
できるだけ状態がよく色柄の趣味が私達に合うものにこだわって、アンティークのきものやかんざしを蒐集しました。センスのよいものほど、素材や仕事がよく、上等なものばかり。由緒正しい立派なものはファッショナブルと対極の”退屈なもの”と偏見を持っていましたが、それは違います。きものが主流だった時代では今見ても前衛的でおしゃれなものもあるのです。昔の日本人のおしゃれ感覚にうわべではない永久的なものを感じ、うれしくなったものです。
私達の目が肥えていく一方で、その頃みられたおばさま方のきものリメイクや、後に巷に出始めた「崩し」によるグランジ感覚の和柄ものには違和感を覚えていました。
昔の上等なものには庶民に手の届かないような歴然とした風格があります。あのうっとりするような妖艶な美しさや現代人でも驚くような斬新な感覚と、上等なクラス感をリスペクトしながら、今のファッションとして再構築することを目指し、「クラッシック・コレクション」が誕生したのです。
※今回は15年程前から振り返ってみましたが、別の機会に、更に深く私たちのファッション観のルーツを探ってみたいと思います。
素材選びのセンスが重要なクラッシック・コレクションたち(写真は2002-2004年)
・上…現在でも人気の銘仙などのタックスカートとホールターネック・ブラウス(比較的カジュアル)
・下…大正時代の絽やジョーゼットを使用したブラウスと、大正の縮緬を使った絹房バッグ








miwaさん、お久しぶりです。
私はmiwaさんの商品に関するいろいろなお話しを聞くのがひとつの楽しみでお店に足繁く通う一ファンですから、このような内容の記事を今後も掲載していただけると大変嬉しいです。
私ももちろんそうですが、
世の中の大半の方は、本当に『上質なもの』とか、本来日本人が持ち合わせているであろう『情緒的な味わい』を感じる感覚とか、そういう類のものを体験できる機会に恵まれていないのが現状だと思います。
それをお洋服(小物もそうですが)を通して体験させてくれる貴重な場所が百花堂なんですよね。
でも、私(達)は自前の感覚でそれをつぶさに感じ取ることは困難な環境にあるため、miwaさんの蘊蓄は、そういう感覚の欠如を補完する貴重なツールであると常々私は思っています。
もっと多くの方に、百花堂の魅力やその存在価値を知っていただきたいなと、常連客として痛切に願っていますので、是非、今後もこういったバックボーンの話をお聞かせください。期待してます!
O.Aさん
ご丁寧にコメントいただきありがとうございます。
いつもO.Aさんとお話させてもらって私も楽しいです。蘊蓄というにはおこがましいのですが、お言葉に甘えて今後はこちらでも語らせていただきますね!
そんなふうに私の説明に耳を傾けご愛用いただいていたとは、創り手冥利に尽きる思いです。
おっしゃるように、グローバリゼーションとスピード化が進む現代社会においては『情緒的な味わい』を感じる感覚は置き去られてしまうようです。昔の良いものを見ていると、ああ、昔の人はゆったり生きてたのだなあと感心させられます。
日本人ならではの繊細で永久的な美意識を汲み取り、刹那的にとどまらないファッションとして融合させて行きたいと思います。私たちのメッセージがより多くの方々の感受性をくすぐるきっかけになれば本望です。
同じ大学でとも学生時代を過ごしていた頃、美和ちゃんはこんなことを考えていたんですね。
日本画クラスにいた私も、日本に昔から伝わる上質なものは本当に背筋がぴんとする美しさがあるって、確かこの頃から意識するようになりました。
当時はそこまで美和ちゃんと話をしたことはなかったけれど、10年後にこうして美和ちゃんの想いが聞けるなんて、なんだかとても嬉しくなりました。
私もそこまで具体的には考えてなかったと思います。
グラフィック専攻なのに、ファッションやるとはね!
先生にファッションの方が向いてるんじゃないか?と言われて「なんでやねん」と思いましたが、
結局その通りでした(笑)
後になってセントマーチンやアントワープに行った方が良かったかな、とも思いましたが
私の個性はここで育まれ、他では『情緒的な味わい』を感じる感覚を養うことはできなかったかもしれない。
ミネちゃんとは今は随分方面が違うけども
感受性が強くてクリエイティブやなぁって思います。